インドで出会った本当にいい人

11/12 その② 【アーグラー】


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アーグラーの駅に着いたのは18時頃。
ベナレス行きの夜行列車は21時発なので時間はあるのだが、未だに切符を買っていないのが不安だった。
真っ先に駅舎の横にある予約専用窓口へ行った。


インドの列車は車両ごとにいくつかのクラスに分かれている。
夜は寝台になる車両には、それぞれ1~3等があり、一部にはエアコン有り無しも選べる。
普通車にも1等、2等があり、2等は予約が要らないいわゆる自由席。


2等か3等の寝台に乗るつもりで用紙に必要事項を記入して窓口へ。
しかし窓口のおじさんは何やら説明し始め、最後に「ノー」と言って、「駅構内の窓口で買え」と言い出した。
なんでだろう?と思いながら駅構内の窓口へ。


うわぁ~・・・各窓口にはインド人がいっぱい並んでいる。
割り込むインド人もいるが、それを注意する警察みたいなのがいたので、何とか秩序が保たれていた。
ここで本当に買えるのだろうか??並んでいるとまもなく自分の後ろのインド人が話しかけてきた。
質素な服装をしているどこでも見かけるインド人だった。
しばらく話をしているうちに「ベナレスに行きたい。買う時困ったら助けてくれないか?」と聞いてみた。
寝台に乗りたい事も伝え、彼は快く「OK」と言ってくれた。
この時はこちらからインド人に助けを求めるほど必死だったのだ。
ようやく自分の番になって窓口に説明を始める。彼も横から助けてくれた。
しかし「ここでは寝台は売っていない。外へ行け」との回答。


彼は「寝台は外の窓口でないと売っていないみたいだ。俺も知らなかった」と言って、
外の窓口に連れて行ってくれた。ここは最初に行った場所だが・・・
彼に「時間は大丈夫なのか?」と聞くと、「出発まで時間があるから」と付き合ってくれた。
あとでチップを求められるかもと思ったが、別に構わなかった。


彼と一緒に再びさっきの窓口に並ぶと、やはり答えは「ノー」。
さっきは理解できなかったが、どうやら寝台には空きがないらしく、
どうしてもベナレスへ行きたいなら普通車の切符を買え、ということだったようだ。
彼はまだ何かを駅員と話していて、「明日の同じ列車もキャンセル待ち状態だ」と教えてくれた。


つまり今日移動するなら2等普通車で行くしかないのか・・・、しかも明日まで待っても乗れないかもしれない。
彼に「2等普通車は座れるかな?」と質問してみたら、「立ってる場所もないほど」との返事。えっ??


そうこうしているうちに彼にも出発時間が迫ってきた。
「俺が助けられるのもここまでだ。健闘を祈るよ」
寝台は手に入らなかったが、彼には本当に助けられた。
自分の時間を割いてまで付き合ってくれたことが嬉しくて、お礼に5ドル札を手渡そうとした。
しかし「いや、いらないよ それは君のお金だ それに切符は買えなかったんだから」と彼は言う。
自分が「いろいろ親切にしてくれた 受け取ってくれ」と言っても受けてくれない。
そして「君が困っていたから助けただけだよ」と。
本当に嬉しかった。がっちり握手をして、彼はホームに走っていった。


彼とはもう2度と会うことはないだろう。
お金という形でさえのお礼もできなかったことが悔しかった。
そして最初は金目当てで助けてくれていると思ったことが恥ずかしくなった。
お互い中途半端な英語で交わし合ったこの時間のことはずっと忘れないと思う。


う~ん、それにしても困った・・
普通車の「立ってる場所もないほど」が気になる・・・